NVIDIAは2025年12月15日、エージェント型AI開発を支援するオープンモデル「NVIDIA Nemotron™ 3」ファミリーを発表しました。この新しいモデルファミリーは、Nano、Super、Ultraの3つのサイズで展開され、透明性、効率性、特化性に優れたAIエージェントの構築を目指します。
Nemotron 3ファミリーの概要
Nemotron 3モデルは、画期的なハイブリッド潜在とMixture-of-Experts (MoE)アーキテクチャを採用しています。これにより、開発者は信頼性の高いマルチエージェントシステムを大規模に構築・展開できるようになります。
近年、AIシステムは単一のチャットボットから協調型のマルチエージェントAIへと進化しており、通信オーバーヘッドやコンテキストドリフト、高い推論コストといった課題に直面しています。Nemotron 3はこれらの課題に対応し、特化したエージェント型AIを構築するために必要なパフォーマンスとオープン性を提供します。
NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン フアン氏は、「オープン イノベーションはAIの進歩の基盤です。Nemotronによって、私たちは高度なAIをオープン プラットフォームへと変革し、開発者が大規模なエージェント システムを構築するために必要な透明性と効率性を提供します」と述べています。
早期採用企業からの期待
Accenture、Cadence、CrowdStrike、Cursor、Deloitte、EY、Oracle Cloud Infrastructure、Palantir、Perplexity、ServiceNow、Siemens、Synopsys、Zoomといった企業が、すでにNemotronファミリーのモデルを統合し、製造、サイバーセキュリティ、ソフトウェア開発、メディア、通信など、さまざまな業界のAIワークフローを強化しています。
ServiceNowの会長兼CEOであるBill McDermott氏は、NVIDIAとServiceNowが長年にわたりAIの未来を共に創り上げてきたことに触れ、「ServiceNowのインテリジェントなワークフロー自動化とNVIDIA Nemotron 3の組み合わせは、比類のない効率性、スピード、そして精度で、今後も業界標準を定義し続けるでしょう」と語っています。
また、PerplexityのCEOであるAravind Srinivas氏は、Nemotron 3 Ultraのような最適にファインチューンされたオープンモデルにワークロードを送信することで、AIアシスタントが卓越した速度、効率、規模で動作することを保証できると述べています。
Nemotron 3がマルチエージェントAIを革新
Nemotron 3 MoEモデルファミリーは、以下の3つのサイズで構成されています。
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Nemotron 3 Nano: 300億パラメータの小型モデルで、一度に最大30億パラメータをアクティブ化し、ターゲットを絞った高効率タスクに適しています。
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Nemotron 3 Super: 約1,000億パラメータを持ち、トークンあたり最大100億パラメータがアクティブになる高精度リーズニングモデルです。マルチエージェントアプリケーション向けに設計されています。
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Nemotron 3 Ultra: 約5,000億パラメータを持ち、トークンあたり最大500億パラメータがアクティブになる大規模リーズニングエンジンです。複雑なAIアプリケーション向けに活用されます。
特に、本日より提供が開始されたNemotron 3 Nanoは、最も計算コスト効率の高いモデルであり、ソフトウェアのデバッグ、コンテンツ要約、AIアシスタントワークフロー、推論コストの低い情報検索などのタスクに最適化されています。独自のハイブリッドMoEアーキテクチャにより、Nemotron 2 Nanoと比較してトークンスループットが最大4倍向上し、リーズニングトークン生成が最大60%削減されるため、推論コストが大幅に削減されます。さらに、100万トークンのコンテキストウィンドウを備えているため、より正確で長時間かつ複数ステップのタスクにおける情報の関連付け能力が向上しています。
独立機関Artificial Analysisは、このモデルを同規模のモデルの中で最もオープンで効率的であり、最高の精度を誇ると評価しました。
Nemotron 3 SuperおよびUltraは、NVIDIA Blackwellアーキテクチャ上でNVIDIAの超高効率な4ビットNVFP4トレーニングフォーマットを採用し、メモリ要件を大幅に削減してトレーニングを高速化しています。これにより、高精度フォーマットと比較して精度を犠牲にすることなく、既存のインフラ上でより大規模なモデルをトレーニングできます。
AIエージェントカスタマイズのための新しいオープンツールとデータ
NVIDIAは、特化型AIエージェントを構築するすべての人向けに、トレーニングデータセットと最先端の強化学習ライブラリのコレクションもリリースしました。
3兆トークンに及ぶNemotronの事前トレーニング、事後トレーニング、強化学習データセットは、高度な能力を持つドメイン特化型エージェントの作成に必要な豊富なリーズニング、コーディング、複数ステップのワークフロー例を提供します。また、Nemotron Agentic Safety Datasetは、実世界のテレメトリを提供し、複雑なエージェントシステムの安全性を評価、強化する上で役立ちます。
開発を加速させるため、NVIDIAはオープンソースライブラリとしてNeMo GymとNeMo RLをリリースしました。これらは、Nemotronモデルのトレーニング環境と事後トレーニングの基盤を提供し、モデルの安全性とパフォーマンスを検証するためのNeMo Evaluatorも提供します。これらのツールとデータセットは、GitHubとHugging Faceで公開されています。
Nemotron 3は、以下のツールでサポートされています。
さらに、Prime IntellectとUnslothは、NeMo Gymのトレーニング環境をワークフローに直接統合し、強力な強化学習トレーニングをより迅速かつ容易に利用できるようにしています。
Nemotron 3 Nanoの提供開始と今後の展望
Nemotron 3 Nanoは、本日よりHugging Faceおよび以下の推論サービスプロバイダーを通じて利用可能です。
また、Couchbase、DataRobot、H2O.ai、JFrog、Lambda、UiPathなどのエンタープライズAIおよびデータインフラプラットフォームでも提供されます。パブリッククラウドを利用する顧客には、Amazon Bedrock (サーバーレス) 経由でAWS上でNemotron 3 Nanoが利用可能であり、Google Cloud、CoreWeave、Crusoe、Microsoft Foundry、Nebius、Nscale、Yottaでも近日中にサポートされる予定です。
Nemotron 3 Nanoは、NVIDIA NIM™ マイクロサービスとして提供され、NVIDIAアクセラレーテッドインフラ上のあらゆる場所に、プライバシーと制御を最大化しながら安全かつスケーラブルに展開できます。Nemotron 3 SuperおよびUltraは、2026年上半期に提供開始予定です。
NVIDIAは、ヨーロッパから韓国に至るまでの組織が、オープンで透明性が高く効率的なモデルを採用することで、それぞれのデータ、規制、価値観に沿ったAIシステムを構築できるよう支援しており、Nemotronファミリーはその取り組みをさらに加速させることでしょう。AIの未来を形作るNVIDIAの動向に、今後も目が離せません。


